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中小企業診断士として思うこと

社長だけが頑張っても、予算は動かない――組織が一丸になる策定術

10/7/2025

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テレビに流れるコンサルティング会社のCMに次のようなものがあります。会議で経営幹部に予算達成可能性を無下に否定され、社員懇親会で社員から「予算って幾らだっけ」と返される社長。社長の孤独をデフォルメし、経営コンサルタントの必要性を訴えたいのでしょう。しかし、このような状況にある社長は、「そもそも社長の資格なし」と捉えられても仕方ありません。

予算の承認と会社法上の取扱い
会社法に明文の定めはありませんが、取締役会設置会社であれば、予算を取締役会で承認するのが実務上一般的です。

一方、取締役会を設置していない会社であっても、取締役間で方向性について意思疎通を図り、合意形成を行うことが通常です。こうしたプロセスを経ることで、経営者の独断専行を防ぎ、組織としての一体感を醸成することができます。

予算策定がもたらす効果
予算は単なる「数値目標」ではなく、以下のようなさまざまな経営効果をもたらします。

  • 従業員の意識統一
予算の背景や目的を共有することで、従業員全体が同じ方向を向き、業務に一体感が生まれます。共通認識が形成されれば、社内会議や日常業務においても意思疎通がスムーズになります。

  • 業務執行の監督支援
経営幹部が予算と実績を定期的に比較することで、進捗状況や課題を早期に把握し、適切な意思決定につなげることができます。

  • 内部統制の強化
経費の急増や異常な支出があれば、予算と比較することで容易に発見でき、不正や無駄の抑止につながります。

実現可能な予算でなければ意味がない
予算は、現実的な根拠に基づいて策定されなければ意味がありません。無理な目標を掲げ、その数字に合わせようとするあまり、粉飾決算に手を染め、最終的に倒産に至った企業は少なくありません。

予算を立てる際は、次の要素をバランスよく踏まえることが重要です。
  • 前年度の実績・トレンド分析
  • 各部門からのヒアリングによる現場の声
  • 経営方針と戦略の反映
  • 想定される内外環境の変化(市況・為替・人件費等)

社内コミュニケーションの徹底が鍵
経営幹部で合意した予算については、従業員に対して丁寧に説明する機会を設けるべきです。なぜその予算を設定したのか、背景・理由・目的を共有することで、従業員の納得と主体性が高まります。

また、定期的に実績の途中経過や結果を報告することも重要です。これにより、経営状況への理解が深まり、業績評価や人事管理との連動も図れるようになります。

さらに、各部門に予算をフィードバックし、KPI(重要業績評価指標)として実績管理に活用することで、組織全体の目標達成意識を高めることができます。

予算は会社を一体にするツールである
冒頭で紹介したCMに見られるような状況は、予算の作成プロセスと社内コミュニケーションの方法に根本的な誤りがあるからこそ起こるのです。

予算は、単なる数字の積み上げではありません。会社全体を巻き込み、一体感を醸成するための、極めて重要な経営ツールなのです。

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都議選から学ぶ:中小企業のブランド戦略は”選ばれる理由”が鍵

1/7/2025

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先日行われた東京都議会議員選挙で、石丸伸二氏が立ち上げた政治団体「再生の道」は、「誰もが政治家を志せる社会」を掲げ、政治参加の促進を最優先の目的としましたが、候補者42名が全員落選するという結果に終わりました。この結果は、中小企業の経営戦略においても、非常に示唆に富むものと言えるでしょう。

 「理念」と「具体的な提供価値」のギャップ
 
この問題は、まさに「理念」と「具体的な提供価値」のギャップとして現れます。皆様の会社がどんなに「地域貢献」や「お客様第一」といった素晴らしい理念を掲げていても、それだけではお客様は商品やサービスを購入してくれません。
  • 理念(例): 「お客様の笑顔のために最高のサービスを提供します!」
  • 現実: お客様が求めているのは、「具体的にどういうサービスで、自分のどんな課題を解決してくれるのか?」「他社 と比べて何が優れているのか?」「価格は適正か?」といった、より具体的な「提供価値(バリュープロポジション)」です。

「再生の道」の場合、個々の候補者が独自の公約を掲げたものの、団体全体としての統一された「政策パッケージ」や「当選後に何を実現するのか」という具体的なビジョンが見えにくかったことが、有権者にとっての「提供価値の不明瞭さ」につながったと言えます。

「参加することに意義がある」だけでは選ばれない

「再生の道」は、政治経験を問わず広く候補者を募ることで、「政治参加の促進」という理念自体は体現していました。これは素晴らしい試みですが、選挙においては「参加すること」だけでなく、「選ばれて、期待に応えること」が求められます。

中小企業経営においても同様です。「良いものを作っています」「一生懸命やっています」という思いは尊いものですが、お客様が見るのは、「それが自分の課題を解決してくれるか」「競合より優れているか」「信頼できるか」といった、より現実的な基準です。
  • 理念先行: 「良い会社でありたい」「地域に貢献したい」
  • 市場の要求: 「この会社の商品・サービスで、自分たちの何がどう良くなるのか?」

「再生の道」の敗因は、まさにこの「選ばれる理由」が明確でなかった点にあると言えるでしょう。

まとめ:中小企業が学ぶべき教訓

「再生の道」の都議選の結果から、中小企業経営者が学ぶべき教訓は多岐にわたります。
  1. 理念と提供価値の明確化: どんなに崇高な理念があっても、お客様にとってのメリットや価値として実践できなければ、選ばれることはありません。自社の強みとお客様のニーズを明確に結びつけ、従業員全員で共有し、日々の行動に落とし込みましょう。
  2. 選ばれる理由」の徹底追求: 「良い商品・サービスを作っている」だけでなく、「お客様がなぜウチを選ぶのか?」を常に問い、その理由を磨き続けましょう。

今回の選挙結果をきっかけに、自社のブランド戦略や営業戦略をあらためて見直してみることが、今後の成長につながる一歩となるかもしれません。
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BCP(事業継続計画)策定は「もしも」の備えではなく「未来」への投資です。

20/6/2025

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BCP(事業継続計画)」という言葉を2011年東日本大震災後耳にされるケースが増えていると思います。
しかし、皆様の中には「人手が回らない」、「大企業がやるものでしょ?」と感じられ、手をつけてない方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは大きな誤解です。
むしろ、中小企業こそBCPの策定が不可欠であり、それは「もしも」の備えであると同時に、会社の「未来」を確かなものにするための重要な投資なのです。

なぜ今、中小製造業にBCPが必要なのか?そしてその浸透状況は?

近年の日本は、地震、台風、豪雨といった自然災害が多発しています。
加えて、パンデミック、サプライチェーンの寸断、情報セキュリティのリスクなど、事業を取り巻く環境は常に変化し、予期せぬ事態がいつ発生してもおかしくありません。

もし、貴社が被災し、事業が停止してしまったらどうなるでしょうか?

・納期の遅延や品質低下による顧客からの信用失墜
・従業員の雇用維持の困難化
・資金繰りの悪化
・復旧の遅れによる廃業

このような事態は、想像しただけでも恐ろしいものです。​

​しかし、BCPを策定していれば、被害を最小限に抑え、早期に事業を再開し、お客様や従業員、そして地域社会からの信頼を守ることができます。
では、中小企業のBCP策定状況はどのように推移してきたのでしょうか。
NTTデータの調査結果を見てみましょう。
写真
参照:NTTデータ経営研究所「事業継続に関する企業アンケート調査」

このように、中小企業のBCP策定率は、東日本大震災以降、段階的に上昇し、コロナ禍で大きく伸びました。
しかし、注目すべきは、コロナ禍でBCPを策定していた企業のうち、実際にBCPを発動できたのは約2割にとどまったという点です。
これは、多くのBCPがパンデミックを想定していなかったことが大きな要因と考えられます。

また、コロナ禍を経てパンデミックを想定したBCP策定も増えたものの、2024年の調査ではBCP策定率が低下に転じていることも示唆されています。
これは、コロナ禍の収束により、危機意識が薄れている可能性を示しています。

BCPは「ゴール」ではない、BCMとして継続的な運用を

BCP策定は、あくまで事業継続への第一歩です。
重要なのは、策定したBCPを「絵に描いた餅」に終わらせず、BCM(事業継続マネジメント)として継続的に運用し、定期的に見直すことです。

コロナ禍において、せっかくBCPを策定していたにもかかわらず発動できなかった企業の多くは、継続的な運用や定期的な見直しが行われていなかったことが原因として挙げられます。
事業を取り巻く環境は常に変化します。
ビジネスモデルが変われば、組織体制が変われば、取引先が変われば、災害リスクが変われば、BCPもそれぞれに合わせて柔軟に見直していく必要があります。

BCP策定は「面倒」ではない、自社を見つめ直す貴重な機会

BCP策定は、一見すると手間がかかる面倒な作業だと感じるかもしれません。
しかし、このプロセスこそが、貴社の経営を見つめ直し、企業価値を高める絶好の機会となります。

・ リスクの洗い出しと対策の具体化:
 潜在的なリスクを可視化し、それぞれに対する具体的な対策を講じることで、経営の安定性を高めます。
・ サプライチェーンの強化:
 取引先との連携を深め、非常時にも安定した供給を確保するための体制を構築できます。
・ 従業員の意識向上と定着:
 従業員が安心して働ける環境を整備することで、モチベーション向上や離職率の低下にも繋がります。
・ 企業イメージの向上と競争力の強化:
​ BCPに取り組む姿勢は、顧客や金融機関からの評価を高め、競合他社との差別化にも貢献します。

さらに、BCP策定の過程で、自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析するSWOT分析にも繋がります。
これにより、経営戦略全体の精度を高め、新たなビジネスチャンスを発見できる可能性も秘めています。

全てを完璧に目指さなくてもいい、まずは「できること」から

BCP策定は、最初から完璧なものを作り上げる必要はありません。
まずは、貴社の事業において「最も重要」な業務は何かを特定し、それが停止した場合にどのような影響が出るのかを考えてみましょう。
​そして、その業務を継続するための最低限の対策から検討を始めることが大切です。

例えば、

・安否確認体制の整備
・重要データのバックアップ
・代替生産場所の検討
・主要取引先との連絡手段の確保

など、できることから少しずつ範囲を拡充させていくことで、着実に事業継続力を高めることができます。

BCP策定には公的機関の支援も活用できます。

BCP策定について、どこから手をつけて良いか分からない場合は、公的機関が提供するガイドラインや支援策を活用することをお勧めします。

中小企業庁:中小企業BCP策定運用指針
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/index.html
内閣府:防災情報のページ(事業者のための事業継続計画策定ガイドライン)
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyo/keizoku/index.html
​

これらのガイドラインには、BCP策定の具体的な手順やポイントが分かりやすくまとめられています。

貴社の未来を守り、さらに発展させるために、今こそBCP策定への第一歩を踏み出すことを強くお勧めします。
BCPについて、さらに詳しく知りたい点や、貴社での具体的な進め方にご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。
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    執筆者

    imwz経営サポート代表
    伊藤安彦
    不定期ですが、頑張ってアップします。
    ​

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