テレビに流れるコンサルティング会社のCMに次のようなものがあります。会議で経営幹部に予算達成可能性を無下に否定され、社員懇親会で社員から「予算って幾らだっけ」と返される社長。社長の孤独をデフォルメし、経営コンサルタントの必要性を訴えたいのでしょう。しかし、このような状況にある社長は、「そもそも社長の資格なし」と捉えられても仕方ありません。
予算の承認と会社法上の取扱い 会社法に明文の定めはありませんが、取締役会設置会社であれば、予算を取締役会で承認するのが実務上一般的です。 一方、取締役会を設置していない会社であっても、取締役間で方向性について意思疎通を図り、合意形成を行うことが通常です。こうしたプロセスを経ることで、経営者の独断専行を防ぎ、組織としての一体感を醸成することができます。 予算策定がもたらす効果 予算は単なる「数値目標」ではなく、以下のようなさまざまな経営効果をもたらします。
実現可能な予算でなければ意味がない 予算は、現実的な根拠に基づいて策定されなければ意味がありません。無理な目標を掲げ、その数字に合わせようとするあまり、粉飾決算に手を染め、最終的に倒産に至った企業は少なくありません。 予算を立てる際は、次の要素をバランスよく踏まえることが重要です。
社内コミュニケーションの徹底が鍵 経営幹部で合意した予算については、従業員に対して丁寧に説明する機会を設けるべきです。なぜその予算を設定したのか、背景・理由・目的を共有することで、従業員の納得と主体性が高まります。 また、定期的に実績の途中経過や結果を報告することも重要です。これにより、経営状況への理解が深まり、業績評価や人事管理との連動も図れるようになります。 さらに、各部門に予算をフィードバックし、KPI(重要業績評価指標)として実績管理に活用することで、組織全体の目標達成意識を高めることができます。 予算は会社を一体にするツールである 冒頭で紹介したCMに見られるような状況は、予算の作成プロセスと社内コミュニケーションの方法に根本的な誤りがあるからこそ起こるのです。 予算は、単なる数字の積み上げではありません。会社全体を巻き込み、一体感を醸成するための、極めて重要な経営ツールなのです。
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執筆者imwz経営サポート代表 アーカイブカテゴリ
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