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中小企業診断士として思うこと

語られる商品には、語られる想いがある

20/6/2026

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人は商品を買うだけでなく、その背景にある想いにもお金を払っているのかもしれません。

先日、日経MJに大変興味深い新興企業の取り組みが掲載されていました。
全国各地の中小企業や農業の支援を手がける「空とぶネコ合同会社」が6月下旬に発売する新商品。
その名も「3000kmブランマンジェ」です。

この商品は、応援購入サイト「Makuake」での先行販売開始わずか2時間で目標金額を達成し、その後も購入額を大きく伸ばしました。
なぜ、このブランマンジェはこれほど多くの人の心を動かしたのでしょうか。

3000km離れた2つの食材が出会う場所
まず目を引くのは、その圧倒的なこだわりとストーリーです。
メイン食材は、オホーツク海に近い北海道西興部(にしおこっぺ)村の萩原牧場で、牧草だけを食べて育った乳牛から搾られるグラスフェッドミルクの生クリーム。
そして、そこから約3000キロメートル離れた鹿児島県喜界島のファームテック喜界で、収穫当日のサトウキビの搾り汁だけを使って作られる純黒糖です。
この日本の北と南にある二つの厳選食材を、福岡県のミシュラン一つ星獲得店の辻光シェフが一つのデザートへと仕上げました。

「北海道と鹿児島の厳選食材、そしてミシュランシェフの技」
これだけでも十分魅力的で、人に話したくなるストーリーがあります。

しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。
顧客は、このストーリーだけに惹かれたのでしょうか。

ストーリーの奥にある金子氏の使命
空とぶネコを率いる金子史人代表は、年間200回以上も飛行機で地方へ足を運び、自ら一次情報を集め続けています。
彼を突き動かしているのは、洗練されたマーケティング戦略ではなく、日本の生産現場に対する強い危機感です。
金子氏は自社サイトでこう語っています。
「後継者不足により、長年培われてきた技術や、価値ある素材が市場に届かないという状況を目の当たりにし、これらの課題が地域から新たな挑戦の芽を摘もうとしているという現実を痛感しています。
私たちの使命は、地域に眠る素材や、生産者、メーカーの価値を、一流の料理人や事業者の力を借りて広く世に届けることです。」

日本の基幹的農業従事者は、この5年間で大きく減少しました。
機械化や後継者不足の影響で、大量生産では作れない価値ある食材や技術が失われつつあります。

金子氏の挑戦は、単なるスイーツ開発ではありません。
「地域に眠る価値を次の世代へつなぎたい」
その想いを形にするための挑戦です。

顧客が本当に共感しているもの
私たちはよく、
「これからはストーリー消費の時代だ」
と言います。
商品の背景にある物語を語れば売れる、と考えがちです。

しかし、この事例が教えてくれるのはもう一歩深い本質です。
顧客は、物語そのものに共感しているのではありません。
その奥にある想いに共感しているのです。

3000kmブランマンジェのストーリーが魅力的に映るのは、その根底に
「生産者を残したい」
「地域の技術を残したい」
という金子氏の一貫した使命感が流れているからです。
購入した人の中には、美味しいデザートを買っただけではなく、その想いを応援したいと考えた人も少なくなかったのではないでしょうか。

物語は興味を生みます。
しかし、人を動かすのは、その奥にある想いです。

中小企業が今、本当に伝えるべきこと
これは空とぶネコ合同会社だけの話ではありません。
多くの中小企業にも共通する話です。
私たちは商品を紹介するとき、
・どんな機能があるか
・どんな技術を使っているか
・どれだけ品質が高いか
といった商品特性ばかりを説明しがちです。

もちろんそれらは重要です。
しかし、スペックの差がすぐに埋まってしまう時代において、それだけで顧客の心を掴み続けることは容易ではありません。

今求められているのは、
「なぜこの事業を続けているのか」
「どんな課題を解決したいのか」
「何を未来へ残したいのか」
という企業の想いを伝えることです。

その想いに共感した人は、単なる顧客ではなく応援者になります。
あなたの会社にも、創業の原点や日々の仕事の中で譲れない信念があるはずです。
一見すると泥臭く見えるその想いこそが、大企業には真似できない価値なのかもしれません。

​語られる商品には、語られる理由があります。
そして、その理由の奥には必ず誰かの想いがあります。
「何を売るか」の前に、「なぜやるのか」。
あなたの会社が持つその想いを、もう一度言葉にしてみてはいかがでしょうか。
0 コメント



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    執筆者

    imwz経営サポート代表
    伊藤安彦
    不定期ですが、頑張ってアップします。
    ​

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