編集するにはここ前回は、原価計算が価格交渉において有効な武器になり得る点から、その重要性について述べました。今回は「外」に対してではなく、「内」、すなわち社内においてどのように原価計算を活用できるかについてお話しします。
目標値の設定をしよう 原価計算の結果は、目標値の設定に活用できます。そしてこれは、会社全体のベクトルを一方向に向けるための有効な手段となります。 目標値の設定は、まず現実を直視することから始まります。達成困難すぎる目標では従業員の共感を得られませんし、逆に易しすぎる目標では意味がありません。「少し難しいが、頑張れば達成できそうだ」と思える目標が理想です。 そのためには、現実の原単位(作業や材料ごとの単価など)を正確に把握しておく必要があります。また、それが理論値とどれだけ乖離しているかも把握しておくことが求められます。 目標値の設定においては、最初は効果が大きく出やすい項目から取り組むのが効果的です。例えば、全体原価のうち5%しか占めない要素に着手しても、成果が見えにくいため途中で挫折してしまう可能性があります。 原価計算結果から、全体に占める割合が大きい要素を抽出し、「ここにはまだ削減の余地がある」と経営者が判断した項目から取り組むのが良いでしょう。 従業員との意思疎通 設定した目標とその理由については、経営者自らが従業員に説明してください。従業員にその理念や意義を理解してもらうことが大切です。その上で、従業員と一緒に目標達成に向けた改善活動に取り組みましょう。 すでにこうした活動に慣れている会社であれば、従業員が主体的に動ける場合もありますが、初めのうちは経営者が積極的に関与することが求められます。 改善活動の具体的な手法としては、特性要因図(いわゆるフィッシュボーン・ダイアグラム)の作成が有効です。 改善提案との関係 改善提案制度を導入して、従業員のやる気を引き出すことも有効な方法のひとつです。効果のあった提案については、その成果の一部を従業員に還元することで、意欲を継続させることができます。 できれば、提案内容はあらかじめ設定した目標に沿ったものが望ましいですが、制度を始めたばかりの段階では「提案しやすい環境」を整えることを優先し、目標への一致にはこだわりすぎない方が良いかもしれません。 改善提案制度の導入については、各種の冊子やYouTube等でも紹介されていますが、私にご相談いただいても構いません。 Contact なお、改善提案に対して報奨金を支給する場合、その金額は給与所得として扱われるため、税務上の取り扱いにはご注意ください。
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